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ペットの歯周病ご用心…寿命延び増加
読売新聞
専門家「歯磨きで予防を」
ペットの長寿命化に伴い、歯の病気にかかる犬や猫が増えている。「歯科」を看板にする動物病院もあるほか、動物用歯ブラシなどの商品も数多く販売されている。専門家は、歯磨きによる予防を呼びかけている。「歯周病がこんなに大変な病気とは知らなかった」。ミニチュアダックスフントに歯の手術を受けさせた、東京都内在住の女性は話す。
目の下が腫れ、たびたび吐くようになった。近所の動物病院に行ったところ、歯周病のため上あごの骨が溶け、うみが目の下にたまっているとの診断。歯科を得意とする「センターヴィル動物病院」(東京都目黒区、幅田功院長)を紹介された。ぐらぐらする歯を抜き、歯石を取り除いた。しかしその後再発し、再び手術を受けた。幅田さんは「歯周病が悪化すると心臓病や腎臓病などの病気を引き起こすこともある。早期の適切な治療が必要」と話す。
ペットフード協会の2014年の調査では、ペットの平均寿命は、中・大型犬で13歳、超小型犬で15歳ほど。ネコは、室内飼いで16歳ほど。「かつてに比べて延びている」という。ワクチンの普及や、飼育環境・栄養バランスの改善などが要因と考えられる。歯周病は年齢が高くなるほど多くなり、アメリカの研究では、6歳以上の小動物の約85%に歯周病があるというデータも。特に犬は、子犬の時から口内に歯周病菌があり、かかりやすいとされる。
ペット保険最大手の「アニコム損保」によると、契約者が飼っているペットで、12年4月から1年間に歯の病気で治療を受けた犬の割合は0~12歳の平均で5・2%、猫は3・3%。年齢が上がるほど割合は増え、犬の12歳では約10%に上る。ペットショップなどでは、動物用歯ブラシや、「歯垢しこうがつきにくい」とうたうペットフードの販売も増えている。予防のため、歯磨き指導に力を入れる動物病院もある。
埼玉県上尾市の「フジタ動物病院」は、診察を受けた飼い主を対象に「歯みがき相談室」を開いて、正しい歯磨きの仕方を指導している。まずは、好物を口もとに持って行き、飼い主に口の周辺を触られるのに慣らす。次にガーゼに歯磨きペーストや好物の味をつけて歯の表面をこすり、慣れたら歯ブラシを使って磨く。歯磨きをさせたら褒める。歯周病や口内炎などがあると痛がるので、病気を治療してからためす。
「重度の歯周病を患った経験のあるペットでも、治療後にきちんと歯磨きを続ければ、長く元気に過ごせる」と院長の藤田桂一さん。
動物の歯科に詳しい人材の育成も始まった。日本大学生物資源科学部獣医学科(神奈川県藤沢市)は今年4月に「歯科学研究室」を新設。動物看護師を養成する「ヤマザキ学園大学」(東京都)の動物看護学部でも昨年、「動物歯科学」の科目を設けた。日大同学科特任教授の大場茂夫さんは「ペットの高齢化が進み、歯の病気はさらに増えると見込まれる。専門家の養成を急ぎつつ、ペットの歯について、飼い主の意識を高めていく必要がある」と話している。(針原陽子)
2015年09月18日 Copyright The Yomiuri Shimbun
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