子供の虫歯、親の学歴で格差 東北大

子供の虫歯、親の学歴で格差 東北大

  多摩市歯科ニュース

子どもの虫歯の割合は、親の学歴によって差があり、子どもの成長につれて差が広がるという調査結果を、東北大の研究グループがまとめた。家庭環境によって健康格差が大きくなることを示しており、研究者は公的な支援の必要性を指摘している。

子どもの虫歯は、親の学歴や収入と関わりがあると言われているが、この格差が子どもの成長につれてどうなるかは、あまり研究されていないという。

東北大の相田潤・准教授(歯科公衆衛生学)らは、厚生労働省が実施している、2001年生まれの子どもを対象にした追跡調査の約3万5千人のデータを分析。両親の学歴で四つのグループに分け、2歳半から1年ごとに過去1年間に虫歯治療を受けた子どもの割合を算出し、比較した。

その結果、両親とも大学以上を卒業した家庭では、虫歯治療を受けた子の割合は2歳半で5・6%、5歳半で31・5%だった。一方、両親が中学または高校卒業の家庭では、2歳半で8・5%、5歳半で41・5%で割合が高かった。虫歯治療を受けた割合の差の広がり方にも、統計学上の意味があったという。

相田さんは「家庭環境によらず、メリットが受けやすい乳幼児健診での啓発、フッ素塗布など虫歯になりにくい支援をより充実させることが重要だ」と話している。


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歯科は予防のため通う

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お口ケアと健康

定期的なメンテナンスを受けていますか?

口の中の定期点検とクリーニングというメンテナンスのために、歯科医に通う人が増えてきた。長年、虫歯や歯周病など、何か問題が起きた時に受診する人が多かったが、歯を守っていくためには、それだけでは不十分だという認識が広がっている。とはいえ、まだ、習慣にしていない人も少なくないので、歯科メンテナンスの意義をおさらいしておきたい。

治療で歯を失い続けてきた日本人

歯に問題が起きてから歯科に行くのは、歯を失う道と言わざるを得ない。小さな虫歯なら、ちょっと削って詰める。深く進んでいたら、神経まで取ってクラウンをかぶせる。治療した詰め物、かぶせ物の寿命を調べた岡山大学の森田学教授(予防歯科学)の研究がある。平均すると、イラストのように10年もたない。詰めた物が外れる、かぶせたクラウンの下が虫歯になる、根の下に病変ができるといったトラブルが発生するからだ。この研究は10年余り前のもので、その後材料や接着剤などが改良され、もっともつようになった可能性はあるが、治療をすれば大丈夫というわけではない点に変わりはない。

虫歯をつくるミュータンス菌や歯周病菌は、口の中で容易に増殖する。歯磨きやフロス(糸ようじ)、歯間ブラシで細菌や食べカスを取り除いても、取りきれない細菌が残る。また、歯は熱いもの、冷たいものという温度差にさらされ、食べ物をかむときに圧力が加わる。厳しい口内環境の中で、詰め物やかぶせ物と歯の間に隙間ができたり、これらの人工物が外れたり、傷んだりする。二次的な虫歯で再治療になれば、さらに歯は削られて小さくなる。神経を抜いた歯はもろくなる。歯の喪失に一歩ずつ近づいていく。こうした悪循環に陥らないため、日ごろのセルフケアや定期的な歯科メンテナンスが重要なのだ。

虫歯治療後の詰め物、かぶせ物の寿命虫歯治療後の詰め物、かぶせ物の寿命

スウェーデンでは8020を達成

日本人の多くが長年、「治療→再治療→歯の喪失」というサイクルを経験してきた。歯は上下合わせて28本あるが、厚生労働省の歯科疾患実態調査(2011年)によると、失った歯の本数は、50歳代前半の平均で2.6本、60歳代前半で5.9本、70歳代前半で11.0本になる。80歳の時に20本の自分の歯を残そうと、日本歯科医師会や厚労省は「8020」運動を主唱しているが、達成しているのはほぼ4割。80歳で残っている歯は平均で半数の14本だ。一方で、世界には「8020」を達成している国もある。歯科衛生の先進国と言われるスウェーデンだ。この差はなぜ生まれたのだろう。

スウェーデンの予防歯科で知られる歯科医、アンダース・スコグルンドさんによると、1960年代末に歯科衛生士の教育が始まり、予防処置が行われるようになった。21歳以下は無料で歯科医療を受けることができ、幼いころからメンテナンスが習慣になっているという。22歳になると、メンテナンスに1回1万5000円程度かかるが、スコグルンドさんがいるカールスタッド市では、市民の9割が継続しているそうだ。治療費が日本の自己負担分と比べてかなり高いこともあって、予防重視の姿勢が徹底されている。それが残る歯の多さにつながっている。

国際標準の予防歯科を目指し診療所開設

日吉歯科診療所汐留でも、メンテナンスを担うのは歯科衛生士。熊谷直大院長(右)は経験豊富なベテランを酒田から連れてきた

そんなスウェーデンに負けない予防歯科医療を実現しようと、昨年3月、東京港区に一軒の歯科診療所が生まれた。「日吉歯科診療所汐留」院長の熊谷直大なおたさん(37)は、「メンテナンスをしていれば、ほとんどの人が歯を失わないで済む。治療と違ってメンテナンスの後は、爽快感があって気持ちがいいので、頭を切り替えていただければ、もっと普及する」と意欲的に取り組んでいる。

初診では、口腔内の写真や歯のエックス線写真を撮影し、歯周ポケットの深さや歯茎の出血、唾液に含まれる細菌、唾液の量の検査をして、口の中の状態を把握する。ほとんどの初診患者が虫歯や歯周病を持っているので、治療をしてからメンテナンスに移る。メンテナンスの頻度は3か月に1度。担当の歯科衛生士が1時間かけて、口内のチェックとクリーニング、歯を強くする高濃度フッ素の塗布、生活習慣や全身の状態の確認をし、記録とアドバイスをまとめる。画像やコメントは、インターネットで確認することができる。

メンテナンスで歯を守れることを実証

熊谷院長は新潟大学歯学部を卒業後、米国のタフツ大学大学院に進み、資格要件が厳しい米国歯科補綴ほてつボード認定専門医の資格を取得した。補綴とは、かぶせ物や入れ歯を専門にする分野だ。治療の専門資格を持つ熊谷院長だが、自分の診療所で実現したいのは、治療を必要としない予防歯科。「メンテナンスで歯を守れる」と言い切る自信は、父が積み上げ、自分も引き継いできた実績があるからだ。

熊谷院長の父の崇さんは、山形県酒田市の「日吉歯科診療所」で、メンテナンスを基本にする歯科診療を37年前から実践してきた日本の予防歯科のパイオニア。酒田市の人口は約10万5000人で、そのうち約1万人のメンテナンスを日吉歯科が担っている。20年以上メンテナンスを受けている人が失った歯は、全世代で平均0.9本。5歳以前から通う人の80%は20歳まで虫歯がゼロ。親子3代でメンテナンスに通う利用者も多い。直大さんは米国から帰国した2009年から、父とともに酒田で診療をしてきた。詳細な診療データを蓄積しており、メンテナンスを徹底することで歯を守ることができるのは実証済みだ。

父の実践は、NHKの「プロフェッショナル―仕事の流儀―」(2014年10月放送)やテレビ東京の「カンブリア宮殿」(16年1月放送)で取り上げられ、大きな反響を呼んだ。メンテナンスのためにわざわざ東京から酒田まで通う患者も現れた。そこで、「酒田でやってきたことを東京に輸出して、国際標準のメンテナンス歯科を日本で確立したい」と、東京に予防歯科の拠点診療所を開業したのだ。

東京の診療所でもメンテナンスは自費診療。1回1万5000円(1時間)を設定している。それでも開業から1年で800人余りが受診し、500人がメンテナンスに移行した。日吉歯科汐留の診療は口コミでも広がり、患者は日に日に増えている。メンテナンスへの関心は広がっている。

予防軽視は保険制度とも関連

このように日本でもメンテナンスのために歯科に通う人は増えている。長年、普及しなかった理由のひとつは健康保険制度にありそうだ。比較的少ない自己負担で医療を自由に受けることができる日本の健康保険制度は優れた制度だが、歯科では必ずしも良いことばかりではない。健康保険は病気やけがの「治療」を保険でカバーするもので、「予防」は対象にならない。だから、治療後の歯科メンテナンスは、本来、自費負担になる。人間ドックと同じである。

「保険でメンテナンスやってもらっている」という人もいるだろう。その場合、虫歯や歯周病の治療などの名目で保険扱いにしているのが実態だ。国は一昨年、虫歯や歯周病に罹患りかんしていない場合、「予防処置に保険給付しない」という見解を改めて公表している。それを受け、自費に移行した診療所もあるようだ。歯周病は成人の8割にあり、口内のクリーニングは「治療」項目のひとつ。歯周ポケットの検査や画像診断は保険で可能だ。しかし、歯周病はきちんと治療をすればほとんどの場合は治るので、治療として予防診療を行うことの不適切さは否めない。歯科医としては、メンテナンスを行おうとすると、自費受診を患者に理解してもらうか、健康保険上の“綱渡り”をするかという壁に突き当たる。そうした歯科メンテナンスのポジションが普及のブレーキになってきた。

健康保険は治療を後押しする制度でもある。提供した医療に対してお金が支払われるので、削って詰めてかぶせるという作業を多くこなすほど収入が増える。患者にとって最良の診療を心がける歯科医も多いに違いない。しかし、保険上の個々の治療単価の設定が比較的安価なこともあって、短時間で多くの歯に手を加える方が経営の安定につながる面がある。

一度治療が必要になると、歯の喪失へのサイクルに入ってしまう。日本とスウェーデンで残る歯の数に差がついているのは、治療中心の制度と、予防を重視する制度をそれぞれ作った国の違いのようだ。とはいえ、日本でも残る自分の歯の数が年々増えているのは喜ばしいことだ。6年に一度行われる歯科疾患実態調査によると、80歳の残歯数は2011年は14本だが、その前の2005年の調査では10本だった。今年の調査ではもっと増えていることだろう。

口腔衛生は全身の健康や寿命にも影響

歯科メンテナンスを国民全員のものにするため、どのような制度を作ればいいのか。その議論は置くとして、今のところ、メンテナンスを受けるには、自費での負担を受け入れなければならない。熊谷院長は言う。「美容院に費やす費用を思い浮かべてみてください。一生自分の歯を使い続けるために、3か月に一度、自費で歯科に通うのは、割の合わない負担でしょうか」

口の中に細菌がはびこっていると、歯だけではなく、心臓血管疾患、糖尿病、リウマチ、認知症、肥満など、全身の健康に影響することがわかっている。高齢になって飲み込む力が低下すると、口の中の細菌が唾液とともに誤って気管に入り、誤嚥ごえん性肺炎を引き起こす。肺炎は80歳以上の主要な死因で、誤嚥性肺炎がその7割以上を占める。口内の衛生管理は、全身の健康や寿命をも左右する。そう考えると、歯科メンテナンスを習慣にしない手はない。(渡辺勝敏)


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根管治療ナビ

根管治療(こんかんちりょう)

骨の中には、骨に栄養分を運んでいる骨髄という大切な組織があるように、歯の中にも歯髄という歯に栄養分を運んでいる大切な組織があります。一般に神経(歯髄)と言われている組織ですが、歯髄の中には血管や神経などが入っています。

虫歯が歯髄の近くまで進行してしまったり、歯髄に達してしまうと歯が染みたりズキズキと痛んだりします。そうなってしまうと麻酔をして歯髄の処置が必要になることが多くなります。この歯髄の処置や処置後の再治療などのことを根管治療(こんかんちりょう)と言っています。
歯髄は歯に栄養を運んでいる大切な組織ですから、歯髄がなくなってしまうと枯れ木のように歯が脆くなってしまいます。そのため、神経の処置の後は歯の中に金属製の芯棒を入れて補強したり、銀歯や白い歯などの冠をかぶせたりして、噛む力で歯が割れたり折れたりしないように頑丈に治療をする必要があります。また、白血球やリンパ球などの免疫細胞が運ばれなくなってしまうために、歯髄のない歯は感染に弱くなります。そのために、歯髄の処置をした歯が後々腫れたり痛んだりすることがあり、その時は抗生剤の服用や再治療・再根管治療などの処置が必要になってきます。
それでは根管治療について詳しく見ていきましょう。

1.根管治療(こんかんちりょう)とは

歯の根の管を根管(こんかん)といい、通常、根管の中には神経があります。虫歯が進行し神経まで達して痛みが強くなると、根管内の神経を取り除く必要があります。神経を取った後、根管内を消毒し、薬を詰めて細菌が入り込まないようにします。これを根管治療といいます。

2.根管治療(こんかんちりょう)が必要な症状

2-1.虫歯が進行しズキズキするような痛みが強い時

虫歯が進行し神経まで達するとしみたり、強い痛みが出ます。痛みを取るため歯に麻酔をし、神経を取る抜髄(ばつずい)をする必要があります。抜髄後、根管治療を行い根の中を消毒します。

2-2.神経が死んでいると噛んだ時に痛みが出る

虫歯が進行したり、歯をぶつけると歯の神経が死んでしまうことがあります。死んだ神経が腐ってしまい、その細菌が根の先まで達すると噛んだ時に痛みがでます。このような場合、根管治療を行い根の中を消毒して痛みを取る必要があります。

2-3.歯の根の先に膿が溜まった時

神経が死んで時間が経つと根の先に歯根嚢胞(しこんのうほう)という膿の袋ができます。症状が出ないことが多く、レントゲンを撮った時に見つけられます。そのまま放置すると大きくなっていき、腫れや痛みが出ることがあります。歯根嚢胞の原因は根の中の細菌のため、根管治療を行い、根の中を消毒します。

2-4.歯茎に腫れやできものができた時

歯の根の先に膿が溜まると歯茎が腫れたりできものができることがあります。根の先の膿の出口です。根管治療を行い、根の中を消毒することによって、腫れやできものは治っていきます。

2-5.歯茎が腫れて痛みが出た時

根の先に膿が溜まっていると、疲労などで体の抵抗力が下がった時に、歯茎が腫れ、痛みが出ることがあります。根の先に溜まっていた膿が急性化したためです。抗生剤を服用したり、根管治療を行い原因の細菌を消毒する必要があります。

3.根管治療の方法

根管治療とは細菌によって汚染された根の中を針金のようなやすり(ファイル)でこすり落として根の中を消毒し、薬で密閉して細菌の住みかをなくす方法です。少しでも細菌に侵された根が残ってしまうとそこからまた細菌が増え、いつまでも痛みが取れなかったり、再発を繰り返してしまいます。

4.根管治療で治らなかった場合の治療法

4-1.歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)

根管治療で歯根嚢胞や膿が止まらない場合や根が曲がっていてファイルが先まで届かない、土台が入っていて取ろうとすると根が割れてしまう危険がある場合などは、麻酔をし歯茎の方から切開を入れ歯根嚢胞を取り出します。根の先の一部を切断し、裏側から薬を詰めて細菌が感染しないようにします。歯根嚢胞を取り出した後は自然に骨ができてきます。

4-2.再植術(さいしょくじゅつ)+歯根端切除術

下顎の奥歯など骨が厚く、歯茎の方から歯根端切除術ができない場合は、麻酔をして一度歯を抜きます。抜いた穴から歯根嚢胞を取り出し、また歯を戻す再植術をします。根が曲がっていたり抜歯の時に歯が折れてしまう危険がある場合には出来ないときもあります。

4-3.部分抜歯

奥歯には根が2本から4本ありますが、そのうちの1本を歯根嚢胞と一緒に抜歯します。部分抜歯をすることによって他の根を助けることができます。残った根を使って被せたり、ブリッジの土台にすることもできます。

5.根管治療の痛み

5-1.根管治療中の痛み

根管治療中に痛みが強く出てしまう方がいます。その場合は麻酔をして根管治療を行います。根の中に汚れを残したままだと、痛みが取れなかったり、再感染を起こし、再度根管治療を行わないといけなくなってしまいます。そのため麻酔をし、痛みを減らしてから根管治療を行います。

5-2.根管治療後の痛み

根管治療をした後、痛みが出る場合があります。これは根の先に膿が溜まっていて根管治療をしたことによって、体が膿を外に出したがっている状態です。場合によっては歯茎が腫れて痛みが出ることがあります。腫れが強い場合は膿を出す処置を行います。

膿を出す処置

体が出そうとしている膿の出口を作ります。根管治療をしている根の中から膿を出します。そこから出ない場合は歯茎を切開し膿を出します。その後薬をのんで腫れや痛みを取ります。

5-3.根の中に薬を詰めた後の痛み

根の中を消毒した後、根の中に薬を詰めます。この薬は根の中に空気が入らないように緊密に詰めるため圧をかけながら行います。そのため薬を詰めた後に痛みが出ることがあります。数時間から数日で治まることが多いですが、痛みが強ければ痛み止めをのむようにして下さい。

5-4.根管治療後、痛みが長期間つづく

根管治療を行った後でも鈍い痛みが長期間続く方がいます。根の先に小さな亀裂が入っていたり、改善する力が弱い方です。いつまでも根管治療を続けていると逆に細菌が中に入ってしまい悪化しやすくなります。根の中がきれいになっていたら一度薬を詰め、外科的な処置を検討するか、そのまま経過をみるか決める必要があります。

6.根管治療の回数

1〜3回かかる人

歯の神経の治療の90%は1〜3回で終わります。初めて神経の治療をする歯は、3つのことをします。歯の神経を取る、消毒する、お薬を詰めるです。そして歯の神経の管は1〜4本あり、この3つの治療を全ての管に行うため、管の数が多いほど時間がかかります。例えば神経の管が1、2本の場合は1、2回、3、4本の場合は2,3回かかります。

初めての歯の神経の治療の時に細菌が神経の管に残ってしまうと、何年かしてからやり直さなくてはいけなくなるので、歯の神経の治療は初回が重要なのです。

4,5回かかる人

歯の神経の治療の7〜8%は4,5回かかります。初めの歯の神経の治療がうまく行かず、根の先に膿がたまってしまったり、歯の痛みを我慢してそのままにしていたら神経が死んで、根の中が腐ってしまったりすると、根の中を消毒するのに時間がかかってしまいます。

歯の神経の治療をやり直す場合、以前入れた薬を一度取ってから、消毒をします。お薬は細菌が入らないようにするためしっかり詰まっていて、溶かしながら取って行きますので、初めての神経治療より、余分に時間がかかってしまいます。

6回以上かかる人

歯の神経の治療の2〜3%は6回以上かかります。お口の中の細菌が歯だけではなく、顎の骨まで広がっていたり、根管が複雑な形をしていると、消毒するのに時間がかかります。

7.根管治療中、注意すること

7-1.治療中の歯で噛まないようにする

根管治療中は歯の内面がむき出しとなりとても弱くなっています。そこに力が加わると仮のふたが取れたり、歯が欠けたり、割れてしまうこともあります。根管治療中の方はできるだけ噛まないようにする必要があります。

7-2.治療の間隔を空け過ぎない

神経の治療をしている途中に歯医者に行けなくなって、時間が空いてしまうと、仮の蓋のすき間からお口の中の細菌がどんどん入り、周りの骨を溶かします。歯だけではなく周りの骨も治るのを待たなくてはいけないために多くの時間がかかってしまったり、抜歯をしなくてはいけなくなることがあります。

8.根管治療後の歯の変化

8-1.変色・歯の色が黒ずんでくる

神経を取ってしまった歯は、歯が死んだ状態になります。死んだからと言ってすぐに悪くなるわけではありません。木と同じように枯れ木になってから何年も立ち続けます。しかし、生きている歯は再生し続けますが、死んでしまった歯は時間とともに、歯の中に老廃物が溜まり黒ずんでいきます。

8-2.破折・歯が割れやすくなる

歯の神経がなくなると歯の中の水分がなくなり、歯はもろくなってしまいます。特に奥歯は噛む力が60kg程度かかりますので、歯が割れやすくなります。そのため寿命は生きている歯より短くなります。

8-3.再発しやすい

根管治療をした歯は根の先の膿が再発することがあります。根管治療の成功率は80%程度です。2回目、3回目となるとさらに成功率は落ちてきます。出来るだけ神経を残すこと、1回目の治療できちんとした治療がされることが必要となります。

9.根管治療後の治療法

9-1.プラスチック等を詰める

前歯など噛む力が強くかからず、虫歯で歯が無くなっている部分が1/3程度以下ならばプラスチックなどの小さな詰め物で治療することができます。自分の歯を出来るだけ残したい人にはお勧めです。しかし、歯の多くが虫歯で失われていたり、歯の変色が気になる方は土台を立てかぶせる必要があります。

9-2.被せ物をする

奥歯は強い力が加わるため根管治療をした後は、歯が割れないようにする必要があります。土台を立てかぶせることによって歯を補強し、長期に歯を使えるように治療をしていきます。


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その鼻づまり、歯のトラブルが原因かも!?

その鼻づまり、歯のトラブルが原因かも!?

長引く鼻水や鼻づまりの症状、なかでも蓄膿(ちくのう)症と呼ばれる慢性の副鼻腔炎は、息苦しさを感じてつらいものです。鼻のまわりに複数ある空洞のうち、鼻の両脇にあるものを上顎洞(じょうがくどう)と呼びます。ここに起きる炎症には、むし歯や歯周病など歯の病気が原因となるものがあります。
むし歯や歯周病などを長い間治療せずに放置していると、細菌が上あごから鼻の両脇の空洞に入り込んで、炎症を起こすことがあります。これが「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)」です。黄色ブドウ球菌による発症が最も多く、レンサ球菌や大腸菌などでも起こります。特に奥歯のむし歯や歯周病が原因となりやすいので要注意です。
ほかに、歯根の治療中や抜歯の際に器具や歯根が空洞に触れた場合、歯を抜いた後に口と上顎洞が一時的につながった場合、インプラントなど歯の詰め物や装具の不具合なども、原因として考えられます。歯の治療後に鼻に症状が現れたら、歯性上顎洞炎の疑いがあると考えてみてもいいでしょう。
急性の場合には、歯の痛みに続いて、突然悪臭の強い粘り気のある鼻汁(びじゅう)や、ほおの周辺に頬部痛(きょうぶつう)が現れます。慢性の場合には、歯の痛みは比較的少ないようです。通常、鼻の片側に起こり、また下あごには副鼻腔がないので、下側の歯からは発症しません。


自覚症状としては、鼻づまりや膿性(のうせい)の鼻汁のほか、頭痛、ほおが赤く腫れる、上の歯茎が腫れて押すと痛みがある、かむときに痛みが生じる、鼻のまわりやほおがズキズキ痛む、口臭、などが挙げられます。うみが上顎洞にたくさんたまると、まるで心臓の動きに合わせたかのように、ズキズキとした痛みを感じることもあります。
診断は、上の歯にむし歯や歯周病があり、その歯を軽く叩くと痛みや違和感がある、また鼻の中にうみや炎症が認められるといった所見に加え、さらにX線検査で上顎洞に陰影があれば、ほぼ確定できます。
治療は、上顎洞炎の治療とむし歯や歯周病の治療を並行して行う必要があります。上顎洞炎に対しては、鼻の入り口近くから針を刺して上顎洞を洗浄し、中のうみを洗い流して抗菌薬の投与を行います。同時に、歯科で原因となる歯や歯肉の治療を行います。
抜歯などで口腔と上顎洞がつながってしまうと、外科的手術で閉鎖しなければならない場合もあります。むし歯や歯周病などの歯の病気は、ほかにも早産や肺炎、心臓病など、思わぬ病気の原因となり得ることがあります。定期的に健診を受け、口の中の健康を保ちましょう。

監修:松下歯科医院院長 松下和夫
「ケータイ家庭の医学」2016年7月掲載より(C)保健同人社


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