虫歯はなぜできる?

虫歯はなぜできる? 読売新聞
多摩市 歯科ニュース

2016年07月28日
大人の虫歯は放置すると、痛みなどに悩まされるだけでなく、骨髄炎や脳梗塞といった他の病気になる恐れもある。休みが取れる夏の間に、虫歯につながる生活習慣を見直したい。そのためにまず、虫歯ができる原因とその予防法を理解しよう。

菌が糖を分解 歯溶かす酸
球状のミュータンス菌の電子顕微鏡写真。右下の塊はグルカン(ライオン提供)
ライオン快適生活研究所(東京)副主席研究員の平野正徳さんは「虫歯の原因は、口内にいる細菌の一つ、ミュータンス菌」と説明する。

虫歯菌とも呼ばれ、約1000分の1ミリの球状菌だ。この菌が食べ物に含まれる糖などを分解して、ねばねばした物質「グルカン」を作り、その塊が歯垢しこうになる。菌は歯垢内で増殖し、糖の分解作業を続ける。分解時にできる酸により、歯の表面を覆うエナメル質からカルシウムやリンなどのミネラルが唾液中に溶け出す「脱灰だっかい」を起こす。

口内では一方で、唾液が酸を洗い流して中和し、溶けたミネラルを元の状態に戻す「再石灰化」も起きている。脱灰と再石灰化のバランスが保たれていればいいが、「間食などで食事の回数が増え、糖分の多い飲食物を頻繁に取ると、脱灰の状態が長く続き、やがて歯に穴が開く虫歯につながる」と平野さん。

虫歯が進み、歯の根っこを残して溶けたC4の状態(山口さん提供)
虫歯が進み、歯の根っこを残して溶けたC4の状態(山口さん提供)

虫歯の進行度は、初期の「COシーオー」、治療が必要な「C1~C4」の5段階に分かれる。Cは「カリエス(虫歯)」の略称。COでは歯に穴が開いておらず、痛みの自覚症状もないが、エナメル質の内部はすかすかの状態だ。この時点で対処すれば健康な状態に戻せるが、放置すると虫歯は進行し、エナメル質やその内側の象牙質に穴が開いたり、激しい痛みを感じたりする。C4では歯の根っこまで侵され、最悪、抜歯となる。

さらに、きらきら歯科医院(長崎市)院長の山口香奈美さんは「虫歯を放置すると、他の病気にもつながる」と指摘する。歯の根の先や顎の骨に膿うみがたまり、歯茎の腫れや骨髄炎、頭痛、顎関節症などを引き起こす。虫歯菌は血液に入って全身を巡り、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなる。

歯磨きにフッ素配合剤
虫歯予防のポイントは、虫歯菌のすみかとなる歯垢をきちんと取り除くことだ。歯垢を効果的に除去する歯磨きの基本を押さえたい。

ライオン快適生活研究所は〈1〉歯の再石灰化を促すフッ素配合の歯磨き剤を使う。量は1~2センチが目安〈2〉少量の水で1回すすぎ、フッ素を口の中に残す〈3〉1か所で20回以上、軽い力で小刻みに動かす〈4〉ブラシの向きや角度を変え、隅々まで磨く〈5〉歯間清掃用具も活用する――などを推奨する。食後に歯磨きを励行し、就寝前も念入りに行うといい。

普段の食事も、糖分を取りすぎず、規則正しい食生活を心掛けたい。また、よくかむことで唾液の分泌量が増え、再石灰化を助けて虫歯予防につながる。「かかりつけの歯科医院で、定期健診や歯磨きなどの指導を受けることも大切です」と山口さんは話す。

2016年07月28日 Copyright © The Yomiuri Shimbun


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歯周病と糖尿病

多摩市 医科歯科ニュース

糖尿病を予防したければ歯医者へ行け
Posted on 12月 9, 2016 by white-family
参考:2016/11/14 日本経済新聞

14日は世界保健機関(WHO)が定めた国際糖尿病デーです。日本の糖尿病患者は「予備軍」も含めて2200万人ともいわれます。最近の研究で糖尿病の原因に歯周病が関係していることがわかってきました。

一方、これに対する内科医と歯科医の意識は低く、患者に情報は行き渡っていません。このテーマに詳しい医学博士・糖尿病専門医の西田亙氏と、歯科医の森昭氏に話を聞きました。

■体重18キロ減の理由

――はじめに糖尿病専門の西田先生にお聞きしますが、糖尿病の予防に歯周病の治療が有効だというのは本当ですか。
西田氏 まずこの写真を見てください。

歯周病治療前(左)と治療後の西田氏。体重は92キロから74キロに
左は7年前、歯周病治療を始める前の私です。体重は92キロ。まさに“医者の不養生”ですが、血糖値は高めで糖尿病予備軍でした。下はその頃の歯の写真です。リンゴをかじると血だらけになるような歯周病でした。それが、あるきっかけで歯のケアをするようになり、体重は18キロやせて74キロになりました。
――そのきっかけとは。
西田氏 7年前、歯科医師会に呼ばれて、糖尿病と歯周病について講演したのをきっかけに共同研究が始まったのです。それ以来、食後にはフロス(歯間清掃用の糸)をし、定期的に歯石を取ってもらうようにしました。歯をきれいにすると、汚したくないので間食が減ります。不思議と体を動かして汗をかきたくなり、ウオーキングや自転車に乗るようになりました。

――森先生は歯科医の立場から糖尿病予防としての歯のケアを提唱されています。
森氏 歯科というのは、ただ歯を治すだけでなく、内科の予防に役立つのだということを訴えています。米国では予防歯科が進んでいて、虫歯だけを治す歯医者さんは「カーペンター・デンティスト(大工みたいな歯医者)」と皮肉を込めて呼ばれます。まず歯科で体の異変を察知する。歯科は、病の進行の最前列に位置すると考えているのです。ただ私もそれに気づいたのは10年前ぐらいのことです。
――どんなきっかけですか。
森氏 当時、歯周病の治療の一環で、口の中をマッサージして唾液を出す処置をしていました。唾液には歯周病菌の力を弱めたり、口の中の傷を治して、菌が血管に入り込むの防ぐ効果があります。あるとき、患者さんから血糖値がよくなった、血圧がよくなったという声が上がってきました。顔のほてりがなくなったとか、更年期障害が軽くなったとか。なにか体に関係あるなと。

■糖尿病患者はほぼ歯周病キャリア
西田氏 まさにその通りなんです。歯周ポケットに入り込んで繁殖した細菌が出す炎症性ホルモンが、歯肉から血管に入りこみ、血糖値を下げるインスリンの働きを弱めることがわかっています。体はなんとかして、より多くのインスリンを作ろうとしますが、これが続くと、インスリンを作る細胞が疲弊し、糖尿病を発症します。
森氏 もう1つ、唾液が少なくなることによる味覚障害も糖尿病を悪化させます。歯周病がひどくて味がわからなくなって偏食になる人は山ほどいます。ハンバーガーとかフライドチキンとか濃い味にながれ血糖値が上がります。
――糖尿病患者のうち、歯周病が原因である比率はどの程度でしょう。
森氏 データとしてはありません。ただ、歯周病が国内に8000万人で、糖尿病が予備軍いれて2200万人ですから、糖尿病患者はほぼ歯周病を持っていると考えていいですよね。
――学術的にはどれだけ立証されているのですか。
西田氏 最初は1993年に、アメリカの歯科医が発表した論文がきっかけでした。糖尿病には、腎症、網膜症、神経症などの合併症がありますが、その第6が歯周病である、というものです。その後15年たってようやく、日本糖尿病学会の治療ガイドラインに歯周病が合併症の一つとして登場しました。
森氏 その後も両者の相関関係はあまり注目されずに来ましたが、去年あたりから風向きが変わってきましたね。歯をケアすると血糖値が改善し糖尿病が良くなるというのが学問的にもコンセンサスになりはじめていると思います。

■うまくいかない医科・歯科連携
西田氏 歯医者さんが最初に見つけた、というのがポイントなんです。この相関関係に気がついたのは、歯科医がつねに患者の口を観察しているからです。歯肉の色が悪いとか、ぶよぶよしているとか、目や手で感じる治療をしているわけです。一方で糖尿病医を含む内科医は、検査データばかり重視する傾向がある。
――実際に内科医と歯科医が連携した治療は行われているのですか
西田氏 糖尿病専門医は国内に5000人前後いますが、残念なことに、実際に患者を紹介するなど、行動している人はごくわずかでしょう。
――どうしてでしょう。予防が徹底すると糖尿病のお客さんがいなくなってしまうから?
西田氏 そんなことはありません。2200万人も患者がいるのですから、なるべく減らしたい。むしろ、歯科医から、糖尿病の疑わしい患者を紹介してもらえるのですから、売り上げアップにつながる「金鉱」です。
森氏 歯科医にとってもそうです。歯科医の領域が糖尿病というテーマに広がればと市場が広がる。口だけでなく、体を守るために、と患者が考えてくれたら、とてつもない「ブルーオーシャン」になります。
――ではなぜ両者は動かないのでしょうか。
森氏 やはりすべては教育だと思います。大学の医学部では歯科の大事さなど教えない。歯学部も糖尿病なんて関わりがない。歯科は人の命に関わるのですよという教育を歯学部ではしていません。
西田氏 両者が同居する総合病院や大学病院でさえ、横の連携はできていません。ただ、最近になってすこし気になる動きがあります。
――気になる、というのは。

■歯科衛生士の争奪戦が始まる
歯科衛生士が入ることで入院日数は半減

西田氏 昨年5月に、「元気な体は口腔(こうくう)から」という全面広告が全国紙に載りました。出稿元は歯科医師会かなと思ったら違って、日本医師会なのです。9月には日本医師会の雑誌が、歯科衛生士に関する興味深いデータを掲載しました。入院中の患者に対し、歯科衛生士が歯のケアをした場合と、看護師がした場合を比較したのです。その結果、入院日数は看護師の場合が4カ月、歯科衛生士は2カ月でした。
――それは何を意味するのですか
西田氏 入院日数が延びるのは、まちがいなく感染症によるものです。プロの歯科衛生士のケアと、歯科については素人の看護師のケアで、この差がついている。2カ月が4カ月になれば、医療費は数倍以上になると見ていいでしょう。
森氏 近い将来、歯科衛生士の争奪戦が起こるということですね。歯科医の業界ではよくいわれることですが、歯科衛生士は、その技能に比べると、労働条件や社会的評価が必ずしも高くないため、離職者が多いのです。出産を契機にだいたい辞めてしまって、復職しません。歯科衛生士の免許登録は20万人なのに、実際稼働しているのは10万人しかいないんです。

西田氏 口というのは、体の内部の粘膜が外部に露出した最も大きな部分ですから、口腔感染制御は極めて大事です。ただし、内科医が感染症に敏感なのに比べると、歯科医の意識は一部ではまだまだ低い。それが歯科衛生士を軽んじる風潮にもつながっているのではないでしょうか。このデータが周知されれば、病院は歯科衛生士を抱え上げようとするでしょう。社会保障もはるかに病院のほうがいいですから。新聞に広告が出たのは偶然じゃないと思います。厚生労働省や日本医師会の頭の良い人たちが動き始めたのでしょう。

――いずれにせよ、医科と歯科の連携はこれからますます必要になりますね。
西田氏 制度的にも追い風が吹いています。今年の4月からは、内科医が歯科医に対して糖尿病患者の紹介状を書けば、歯科医で抗生物質による歯周治療が直ちに開始できるようになりました。「糖尿病医による歯周病(英語名perio)処置」という意味で「P処(糖)」と呼ばれます。糖尿病の患者さんは、担当医に言ってみてください。
森氏 これまでの医科・歯科連携はがんや高齢者医療などでなんども試みられましたが、ことごとく失敗でした。大学や病院での縦割り意識が、そのまま社会に残っていることは、患者にとってハッピーではありません。
西田氏 糖尿病患者は、医者から「ご飯は8分目、1日1万歩」とさんざん聞かされて馬耳東風になっているでしょう? ところが「歯磨きをしましょう」というと、みんな新鮮に感じてくれるんです。他のサービスと同様に、治療も、患者のモチベーションを引き出す努力が必要です」
(聞き手は小板橋太郎)


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顎関節症について

顎関節症について

顎関節症

顎関節の構造

顎は微妙に入りくんだ形と複雑な機能を持っています。ここには筋肉と関節と神経が集中し、顎をつり上げた形で、口の中のかみ合わせと連動しています。
最近、顎の関節の不快症状を訴える方が多くなってきました。その症状は多種多岐にわたっています。たとえば、あごが思い通り動かず、食べ物が噛みづらい。 あごを動かすとき、カックン、キシキシなど不快な音がする。あごの関節に痛みを感じ、口が開けにくいといったものです。しかも症状はあごの関節ばかりでなく、肩こりとか、腕や指がしびれた感じがするとか、しばしば偏頭痛があり、耳や鼻にも不快な症状を感じる人もいます。
このように、大変広範囲にわたり、ある人には軽い症状、とても耐えられないような重い症状まで、個人差もかなり強いのが特徴です。

顎関節症の仕組

顎関節症の原因

その原因として、いろいろ考えられますが、上下の歯の噛み合わせの異常による場合が多いようです。上下の歯の噛み合わせが悪くて、下のあごが横にずれ、関節頭が正しい場所に位置していないときは関節部の構造が変化して、関節症の症状をおこすといわれています。また精神的緊張やストレスがあごの周りの筋肉をたかぶらせ、これが噛み合わせをアンバランスにし、無理な力が関節にかかって顎関節に負担がかかるともいわれます。
歯ぎしりによって厳しい歯と歯の摺りあわせが続くと、あごの関節に大きな負担をかけてしまいます。さらに全身的問題、例えば、生まれつき関節に形態的問題のある人や、関節部に外傷を受けたことがあるかどうかなどが微妙に複雑に絡み合っていろいろな症状を呈します。
最近の診断学の進歩によって、部分的には明らかにされましたが、いまだ分からない点も多く残っているのが現状です。

治療法

治療法も随分ありますが、全身に対するものと、あごや歯など局所に対するものに分かれます。
全身療法は、内科医、神経科医、整形外科医と相談しながらやらねばなりません。
治療するに当たっては正確な診断が必要です。噛み合わせにズレはないか、抜けた歯はないか、親知らずはどんなはえ方をしているかなどを調べます。さらに口の周りの筋肉を触診したり、歯ぎしりはないか、生まれつきあごの関節に異常はなかったか、などを診査します。さらに歯の型をとったり、レントゲン検査をしたりして、筋電図をとることもあります。

局所療法

局所療法としては、噛み合わせを治すことが一番重要です。それは多くの場合、直接的、あるいは間接的に何らかの形で噛み合わせが症状に関わっているからです。
スプリントという入れ歯に近いものを上顎あるいは下顎に入れます。その装置によって上と下との噛み合わせが均等に接するようにします。そうすると、あごの関節頭は正しい位置に戻り、その周りの筋肉は緊張がとけて楽になり、スムーズな運動が出来るようになります。
さらに歯の頭を削って上下の噛み合わせを合わせたりしながら、根気強く調節をくり返します。症状がとれた所で、クラウンやブリッジ、それに入れ歯などで噛み合わせの関係を再構成しなければなりません。
このようにあごの病気からこういった多くの症状が現れることはそれだけあごの動きや噛み合わせが人体にとって重大である証明でもあります。
このことはあごの関節が複雑で特殊な構造から出来ていることによります。その上、下のあごはさらに肩や首の筋肉との関係も深いから一層それらに影響を与えます。上と下のあごの関係や下顎の筋肉のバランスを崩さないような治療が大変重要です。
あごの病気の治療はむずかしく、複雑でしつこい疾患です。歯科医と患者さんは根気強く、回復への努力を払わねばなりません。

顎関節症と紛らわしい病気

近代化の波は早いテンポで世界的に押し寄せていますが、その中でも日本は経済的成長とともに、衣、食、住、全般にわたって急速な変化が著しいです。
そのような世相を背景にして、以前は存在しなかった新しい、複雑な病気が表れ、診断や治療で医者や歯医者を悩ましています。
その症状の特徴は、歯科から整形外科、精神科、内科、耳鼻科、小児科といった広範囲にわたる複雑なものです。
顎関節症を含めてこれらの新しい病気は、その病気そのものもまだ詳しく分かっている訳ではありません。典型的症状を示してくれればいいのですが、紛らわしい症状ですと、識別するのがひと苦労です。
例えば、三叉神経痛、非定型顔面痛や頭痛など痛みや症状の現れる場所が顎関節痛と紛らわしいのです。

全身への影響

1,眼精疲労・かすみ目・視力低下
2,偏頭痛
3,耳鳴り・難聴
4,肩こり・腰痛・ぎっくり腰
5,開口障害・摂食障害

治療期間

症状の程度によって異なりますが、数ヶ月かかることが多くあります。


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親知らずの抜歯 Q&A

親知らずについて

親知らずは必ず抜かなければいけないの?

親知らずの虫歯

抜く必要がある場合と、必要のない場合があります。親知らずは誰にでもあるわけではありません。ある人は上下左右で4本ありますが、約半数近くの人は0~3本ぐらいしかありません。またあったとしても、まっすぐ生えてこないで、ななめに生えてきたり、骨の中に埋まったままになっていたりと様々です。昔の人はほとんどの人が親知らずがあったと言われています。しかし現代人になって顎の大きさが小さくなるにつれて親知らずの生えてくるスペースが少なくなり、それに伴って親知らずも自然と生えてこなくなってきたようです。

親知らずは歯列の一番奥に生えてくるためになかなか歯ブラシが届かないので上手に磨くことが出来ません。そのため、虫歯になったり、歯肉が腫れたりすることがあります。親知らずが虫歯になるとその手前の歯に虫歯が移ってしまうことがあります。また親知らずの回りの歯肉が腫れるとその手前の歯にまで炎症が波及したり、顔が腫れたりと様々な悪影響を回りの組織に及ぼします。そのために親知らずは早く抜いた方がいいという定説ができあがりました。
しかし親知らずは必ずしも抜く必要はありません。昔のように口腔内の清掃状態が悪く、口腔清掃指導もしっかりしていなかった時代には抜かなければ回りの組織に悪影響を与えることも多かったのですが、現在のようにしっかりとブラッシング指導をおこない、親知らずまできれいに磨けるようになり虫歯を予防していけば抜く必要は無いどころかリスクを侵してまで抜かない方がよい場合が多くあります。

親知らずの抜歯

現在では、移植という治療法もあり、他の歯がだめになったときに、無駄のように思われていた親知らずが思わず役に立つことがあります。また、他の歯がだめになったときに親知らずがブリッジの土台になったり、義歯のバネのかかる歯になったりと色々なお役に立てることもあるのです。
親知らずが骨の中にある場合でも、骨の中に歯があることにより骨の吸収を防ぐこともあります。最近では残根状態になった根をわざと歯肉の中に埋めたままにしてふさいでしまい、骨の吸収を防ぐこともあります。そうすることにより、義歯(入れ歯)の安定をよくするのです。

また親知らずは一番奥にあるため大事な神経や血管がすぐ近くにあります。そのために抜くときに神経や血管を傷つけて、その後、口唇や舌に麻痺が残るような事故も後を絶ちません。
このような様々な理由から、必ずしも急いで抜く必要はないといえます。
もちろん、あきらかに親知らずが原因で手前の歯に虫歯が出来ていたり、頻繁に歯肉が腫れたり痛くなったりする場合は抜いた方がいいケースもたくさんあります。
親知らずを抜くか抜かないかの判断はかかりつけの歯科医に相談し、診断してもらうのがよいでしょう。


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母乳育児が歯の健康に有益

母乳育児が歯の健康に有益
おしゃぶりの使用度も関連
HealthDay News2015年7月2日 (木)配信 小児科疾患産婦人科疾患

乳児を母乳で育てると、後に噛み合わせ異常が起きる可能性が低減するという。オーストラリア、アデレード大学のKaren Peres氏らの研究で示され、論文が「Pediatrics」オンライン版に6月15日掲載された。

Peres氏らは小児1,300人超を5年間追跡し、生後3カ月時、1歳時、2歳時の母乳育児の状況を調べた。また、生後3カ月、1歳時、2歳時、4歳時でのおしゃぶりの使用頻度も尋ねた。小児の約40%は4年間、日常的におしゃぶりを使用していた。

5歳時点で、小児らに開咬、交叉咬合、過蓋咬合、中等度~重度の噛み合わせ異常など、歯や顎の位置異常がみられるかを調べた。

過蓋咬合のリスクは、生後3~6カ月に母乳のみで育てられた小児ではそうでない小児に比べて3分の1低く、6カ月以上の母乳歴がある場合は44%低くなっていた。同様に、中等度~重度の噛み合わせ異常のリスクも、それぞれ41%、72%低くなった。

開咬、過蓋咬合、中等度~重度の噛み合わせ異常は一般に、ほとんどまたは完全に母乳で育った小児で少なかった。ただし、ほとんど母乳育児の児でも、おしゃぶりを使うと噛み合わせ異常の可能性がやや高かった。

今回の研究は母乳育児と歯の健康の因果関係を証明したものではないが、「母乳育児は、口腔の筋発達や鼻呼吸を助ける。また、不正咬合の危険因子と考えられているおしゃぶりの使用率も低くなる」とPeres氏は話している。


歯のクリーニングで肺もきれいに保てる

年2回の歯科受診で細菌性肺炎リスクが低下
HealthDay News2016年11月10日 (木)配信 一般内科疾患呼吸器疾患感染症

定期的な歯科検診は明るい笑顔を保つだけでなく、肺の健康も保つ可能性があるという。米バージニア・コモンウェルス大学感染症部門内科助教授のMichelle Doll氏らの新たな研究で、定期的な歯のクリーニングにより肺感染症を引き起こす細菌量が減少し、肺炎リスクが低下する可能性があることが示唆された。

 

米国では毎年100万人近くが肺炎を発症し、5万人が肺炎で死亡する。誰でも肺炎にかかる可能性はあるが、高齢者、他の肺疾患がある患者、AIDSなどの疾患をもつ患者ではさらに多くみられる。

本研究では、2万6,000人超の記録をレビューした。その結果、歯科医を全く受診していない人は、年2回の歯科検診を受けている人に比べて細菌性肺炎になる可能性が86%高かった。

この研究結果は、米国感染症学会(IDSA)、米国病院疫学学会(SHEA)、HIV医学協会(HIVMA)、小児感染症学会(PIDS)の年次集会であるIDWeek 2016で10月27日発表された。なお、学会発表された知見は、査読を受けて専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

Doll氏は、「口腔衛生と肺炎との関係は十分に裏づけられており、歯科受診は良好な口腔衛生を維持するために重要だ。口腔内の細菌をゼロにすることは不可能だが、きちんとケアすれば細菌の量を制限できる。われわれの研究は、口腔衛生が全身の健康に関係することを示すさらなるエビデンスであり、歯科のケアをルーチンの予防医療に組み込むことの重要性を示唆している」と述べている。


歯の病気で動脈硬化が悪化 京大、疫学研究で確認 「医療新世紀」

臨床 2017年1月24日 (火)配信共同通信社
失った歯の本数と、動脈硬化の悪化の程度とに強い関係があることが、京都大の大規模な疫学研究で明らかになった。

歯周病菌の感染などで動脈硬化が進むことは従来の研究で指摘されていたが、地域の住民の集団で関係が確かめられたのは初めてといい、「歯の手入れと歯科の定期的な受診により口の中の病気を予防することで、動脈硬化に関係する死亡のリスクを下げる効果が期待できる」としている。

京都大と滋賀県長浜市が連携して2007~10年、同市の30~75歳の男女約1万人を対象に進めた疫学研究「ながはま0次予防コホート事業」の成果。

浅井啓太(あさい・けいた)京都大助教(口腔(こうくう)外科学)らは、まず参加者全員の歯科検診を実施。矯正や外傷によらない、歯周病などで失った歯の本数を確かめた。同時に、体を横たえた状態で、両腕と両足首の血圧と、心拍が末梢(まっしょう)血管に伝わる様子とを測る「CAVI」という方法で参加者の動脈硬化の程度を割り出した。

年齢や性別、喫煙の有無、血糖値など、動脈硬化に関わるほかの条件の影響を排除して両者の関係の有無を解析したところ、失った歯の本数が多いほど、動脈硬化の程度が悪くなっていることが分かった。

従来の動物実験や臨床研究では、口中で歯周病菌などの細菌感染による炎症が起こると炎症性物質が血管に入り込み、その結果、血管の内面が傷ついて動脈硬化を引き起こすことが分かっている。

浅井助教は「毎日の歯磨きを中心とした生活習慣で動脈硬化が防げることを知って、健康管理につなげてもらいたい」と話している。


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