歯周病治療に新薬 危険な密室

歯周病 治療に新薬 歯支える骨、増やす 患者の選択肢、広がる

その他 2017年2月1日 (水)配信毎日新聞社

成人の8割がかかっているとも言われる歯周病は、悪化すると歯を支える骨「歯槽骨」が壊され、歯が抜けてしまう恐れもある。対策は口の中をケアし、悪化を防ぐしかないと思われてきたが、昨年12月、歯槽骨を増やす効果のある新薬「リグロス」(一般名トラフェルミン)が発売された。現時点では効果は限定的だが、患者にとっては選択肢が広がりそうだ。【野田武】

大阪府吹田市の主婦(30)は3年前、歯がぐらついて食事がしにくくなり、近所の歯科医院を受診した。専門的な治療が必要と判断され、大阪大歯学部付属病院(同市)を紹介された。

主治医はリグロス臨床試験(治験)について説明した。「症状がよくなる可能性があるなら」と考えて参加した。「手術後も痛みなどはなく、歯は今も大丈夫です」。女性は歯を失わずに済み、術後も順調だという。

歯周病の原因は口の中の細菌の塊(プラーク)。これを放置すると歯周病になり、プラークが歯石になると歯磨きでは取れなくなる。さらに悪化すると歯槽骨などの組織を壊してしまう。

歯科医にプラークと歯石を取ってもらえば歯周病の進行は止まるが、一度失われた歯槽骨は元には戻らないとされてきた。

しかし、リグロスには、骨の再生や血管の新生、細胞増殖などを促すたんぱく質「FGF2」が含まれており、歯槽骨や周囲の組織の再生を後押しする効果がある。

歯周病がひどくなると、歯茎を切り開いて歯石などの汚れを取り除く手術が必要になる。リグロスは粘り気のある液状の薬で、切開した歯茎を縫合する前に、歯槽骨の欠けた部分へ垂らして投与する。

◇大半の歯学部、治験参加 重大副作用なく 保険適用対象

歯を再生できないか――そんな思いから、科研製薬(東京都文京区)と大阪大のグループが1990年代にリグロスの研究開発を始めた。薬の安全性と効果を実証して国の承認を得るために同社が2001年から段階的に実施した臨床試験(治験)には、阪大など全国の25施設が参加。日本には大学の歯学部が29あり、その大半がいずれかの段階で加わった形だ。

臨床試験には約1000人の患者が参加した。治療後9カ月間でどの程度骨が再生したかを調べたところ、平均して壊れた部分の半分程度が修復されていた。

歯槽骨が必要以上に成長するなどの重大な副作用は生じなかった。ただ、治り方の程度には個人差があったという。

大阪大歯学部付属病院長の村上伸也教授(口腔(こうくう)治療学)は「歯の支えが増えることが期待できる点に意義がある」と説明する。

外国で生まれた歯の再生治療法もあるが、保険適用されていない。リグロスは保険適用されているので自己負担が原則3割で済む。

価格は決して安くはない。リグロスは歯槽骨がどの程度壊れているかによって大小2種類あり、大が約2万7800円、小は約2万700円。症状によっては2カ所以上に使う必要があり、手術代もかかる。

村上教授は「長年の研究を通じて、手塩にかけてようやく世に放った薬。安全性と有効性を実感してもらいながら、普及へ向けて薬を育てていきたい」と話している。

歯周病

◇「セルフケア」不可欠 歯間ブラシが有効

歯周病対策には、日ごろから自分の歯を管理する「セルフケア」が欠かせない。

日本歯周病学会が対策についてまとめた論文によると、歯周病は40~60歳の壮年期に発症・進行する場合が多い。痛みなどの自覚症状がないため、この時期の予防が重要となる。歯科衛生士などの専門家から年に1~2回はケアについて指導を受けることも推奨している。

日常のケアは、歯磨きに加えて、歯の隙間(すきま)に合った太さの歯間ブラシを使うことが汚れを取り除くのに効果的だ。歯間ブラシが入らない狭い部分には、デンタルフロスを使う。

学会の論文をまとめた森田学・岡山大教授(予防歯科学)は「歯間ブラシを使うと歯茎がマッサージされるので血行がよくなって老廃物が排出されやすくなり、歯茎が強くなる効果がある」と指摘する。ただ、使い方を間違えると歯茎を傷つけてしまうこともあるので、注意が必要だという。

一方、歯周病の最大のリスクとされるのが喫煙だ。同学会によると、ニコチンの影響で血管が収縮するなどして、歯周組織が修復しにくくなるという。豪州で喫煙者と非喫煙者の歯周病の人の割合を比べる調査をしたところ、喫煙者の方が高く、進行もしやすかった。

ただ、禁煙すると5~10年で歯周病になるリスクが非喫煙者と同じ程度になるという。


「危険な密室」歯科現場…「モンスターぺイシェント」の診療、拒否できず
その他 2017年1月28日 (土)配信読売新聞

岐阜市の歯科医院で、院長の渕野 太賀臣たかお さん(50)が通院患者の男に刺殺された事件は、27日で発生から1週間となる。岐阜県警は、逮捕された無職長浜伸幸容疑者(58)が治療への不満を募らせて殺害したとみて調べているが、歯科診療の現場では患者とのトラブルが後を絶たず、専門家は、トラブル時のマニュアル整備などが必要だと訴えている。(茶山瞭)

警察に相談

「患者とのトラブルは珍しくない。人ごととは思えない」。岐阜市で歯科医院を開業する男性(53)は、事件についてこう語る。

長浜容疑者は20日、歯科医院の処置室で渕野さんの首などを包丁で刺して殺害した疑いがある。県警によると、長浜容疑者は「カッとなって刺した」と供述。「歯槽のう漏の治療で歯を多く抜かれた」として、渕野さんとトラブルになっており、事件当時は1対1で面会していたという。

近隣住民によると、長浜容疑者は、道ですれ違った人をいきなりどなりつけることもあった。渕野さんは事件前、警察に相談していたが、「刺激したらどんな行動に出るか分からない」と介入は拒んだという。

理不尽な要求、暴言・暴力

医療現場でのトラブルは後を絶たない。2005年には、岡山大医学部・歯学部付属病院(現・岡山大病院)で元患者の男が歯科医師を逆恨みし、ナイフで切りつける事件もあった。日本歯科医師会によると、都道府県の歯科医師会に患者や歯科医師から寄せられたトラブルなどの相談は、12年度で年間計約4500件に上っている。

医療のトラブル解決に長年携わってきた大阪府保険医協会の尾内康彦参与(62)によると、患者の権利意識の高まりに伴い、近年、理不尽な要求や暴言・暴力を繰り返す患者が増加。こうした患者は「モンスターぺイシェント(患者)」とも呼ばれているという。

歯科医師法は、患者が診察や治療を求めた場合、正当な理由がなければ拒んではならないとする「応召義務」を定めている。患者の言動に不安を感じても、診察や治療を拒否するのは難しいのが実情だ。岐阜市の50歳代の歯科医師は、順番待ちに不満を持つ患者が「歯が痛いのに、なぜ待たないといけないんだ」と激高し、診察中になだめようとして逆上された経験がある。「本音では拒否したいが、我慢するしかない」

対策整備、求める声も

岐阜大医学部付属病院では、患者と医師の間に問題が起きた場合、両者を遠ざけ、複数の職員で対応する体制を整えている。患者相談窓口の担当者は「1対1は危険。ただ、小規模な歯科医院では『密室』で対応せざるを得ず、リスクは高まるだろう」と話す。

医療現場のトラブルに詳しい深沢直之弁護士は「応召義務は患者と医師の信頼関係が前提。患者によっては拒否もできるという認識を広める必要がある」と指摘。そのうえで、「警察にすぐ知らせるなど、モンスターペイシェントの対応マニュアルを整備し、歯科医師会などで共有することも重要だ」としている。


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京王永山駅,小田急永山駅より徒歩8分

入れ歯 義歯

入れ歯の種類について

入れ歯には大きく分けて部分入れ歯と総入れ歯があります。部分入れ歯は歯が残っており、その歯にはりがね等をかけることにより外れにくくしている入れ歯です。総入れ歯は文字通り歯がなくなってしまい全ての部分が入れ歯になったものを一般的に指します。
また、保険適応内で入れ歯を製作した場合、プラスチックの部分が多い入れ歯となります。保険適応外のものとしては、入れ歯の金属部分を多くした金属床義歯というものがあります。

部分入れ歯とは

幾本かなくなった歯やなくなった骨の一部を補い、形態や見た目の不良を回復するための入れ歯。

部分入れ歯は、生まれつき歯が少なくて隙間が広く開いていたり、むし歯や歯周病、あるいは事故、手術などで歯や骨の一部がなくなった場合、そのなくなったところを補う装置のことです。これによって、形態や見た目の不良を回復し、食事やしゃべりやすさを改善します。

治療方法

この入れ歯の治療手順は総入れ歯の手順とほぼ同様です(総入れ歯の制作手順をみて下さい)。しかし、残っている歯にむし歯や歯周病がある場合には、まずその治療を先に行ってから部分入れ歯の治療に入ります。

部分入れ歯の適応

1~2本の歯がなくなった場合には、両脇の歯を支えとして、異物感が少なく自然観のあるブリッジによる治療が可能ですが、支えになる歯が片側にしかない場合や多数の歯が失われている場合、歯があった骨の部分が広い範囲で失われている場合は、部分入れ歯の治療の適応となります。
部分入れ歯はどうしても異物感があって馴染めないとか、入れ歯は嫌だといわれる方にはインプラントを選択することも可能です(インプラントの項をみて下さい)。

部分入れ歯の構成

 部分入れ歯は,患者さんが取りはずして手入れができるようになっていますが,食事中に沈み込んだり浮き上がったり,会話中にはずれてしまっては困ります.そこで,入れ歯には残っている歯に引っかけるためのバネ(支台装置・しだいそうち)が組み込まれています(写真1).そのほか,歯の抜けた部分に対してその歯の代わりをする人工歯(じんこうし),歯の抜けた土手や歯ぐきを補うピンク色のプラスチックでできた義歯床(ぎししょう),歯の抜けた部分が離れたところに2ヶ所以上ある場合に両方をつなぎ入れ歯を一体化する連結子(れんけつし)などがあります。これらにより、部分入れ歯はできています.

治療費

保険適用と保険外適用の自費診療とに分かれます。

保険適用では、保険の種類、入れ歯の大部分を構成する「レジン床」と呼ばれるプラスチックの樹脂の種類、また歯の欠損数によっても費用は異なります。
保険外適用では金属の種類(金合金、特殊合金、チタン合金など)や歯の欠損数、また各診療所によっても費用は多少異なります。必ず、事前に説明を聞いて下さい

 

 

●入れ歯には”慣れ”が必要です。今までに入れ歯を使用されていた方は、新しい入れ歯になっても比較的スムーズに移行できます。しかし、初めて入れ歯を使用される場合は、うまく使いこなすのにある程度の期間が必要です。 少しでも不具合な点があれば、早めに担当医を訪れるのが慣れへの近道です。

●部分入れ歯はある一定方向からしか口の中に入れることができません。適当に無理矢理押し込もうとするとバネが変形したり、折れたりします。噛んで入れ歯を押し込むようなことはせず、指を使って確実に支えの歯に合わせるようにして下さい。はずす際には、バネの部分に爪を引っかければ比較的楽に行えます。
●入れ歯は、寝るときにははずすようにしましょう。ただし、かみ合わせの状況によっては、夜間も入れ歯が必要な場合もあるので、担当医の指示に従って下さい。はずした入れ歯は、コップやプラスチック容器などに入れ歯洗浄剤を入れて、その中に保存して下さい。

手入れ

●入れ歯を清掃する際には、誤って落としても壊れないように洗面器に水を少し張り、その上で行います。専用の入れ歯用ブラシを用いると効果的に清掃できます(写真13、14)。ただし、歯磨き剤は使用しないでください。毎日、入れ歯洗浄剤を用いると洗浄効果が高まります。必ず先にブラシで汚れを取り除いてから、この洗浄液につけるようにしましょう。

 

写真13 写真14

●部分入れ歯の場合にはバネのかかっている歯、残っている歯の周り、入れ歯との境目にプラークがたまりやすいので注意して磨きましょう(写真15、16)。

 

写真15 写真16

最後に

入れ歯を入れたら、半年に1度は担当医を訪れて、入れ歯や残っている歯の定期的なチェックをしてもらいましょう。患者さんご自身では気付かなくても、専門家の目からは調整、修理が必要な箇所が見つかる場合があります。いつまでも健康な口腔環境と、快適な食生活を保つ秘訣です。

総入れ歯とは

上顎または下顎の歯をすべて失った場合の入れ歯。

人間の歯は、親知らず(第3大臼歯)を含めると、上下左右全部で32本あります。これらが何らかの原因で抜けていき、歯が1本も無い人を無歯顎者と呼びます。無歯顎者が食べたり話したりする機能を回復するために、口の中へ入れる人工の装置を総入れ歯と呼びます。総入れ歯を装着することによって、QOLが向上します。
治療方法

【1回目】口腔内診査:医療面接

まず、最初に口の中の診査を行い、どのような方法で入れ歯を作るのが良いかを調べ、治療の予定をたてます。簡単な型採りをすることもあり。

【2回目】型採り:印象採得

トレーと呼ばれる、枠を用いてお口の中の精密な型採りを行います。時間のかかる作業です。

【3回目】噛み合わせの記録:咬合採得

咬合床(こうごうしょう)と呼ばれるロウで出来た器材を使って、上下の噛み合わせを採ります。上下・前後・左右の高さを決めるわけです。
【4回目】試し入れ:試適

ロウで出来た入れ歯を口の中に入れて、歯の色や形、並び具合や噛み合わせ等をチェックします。

【5回目】完成:装着

出来上がった入れ歯を調整し、口に入れます。この後、調整期間に入ります。

総入れ歯の種類

総入れ歯は、歯ぐきを作る材料によって大きく2つに分けられます.レジンと呼ばれるプラスチックの樹脂で出来たもの(健康保険適用)と、チタン等の金属で出来たもの(一部保険からの負担あり)です。金属の入れ歯は、薄く温度感覚に優れているので、装着感が良好です。また、壊れにくいという特徴もあります

金属床(きんぞくしょう) レジン床(しょう)

造った後の注意事項

痛いところがあれば、来院時に調整を行います。難しい顎の場合にはかなりの回数通ってもらうこともあります。新しい道具(入れ歯)に慣れるまではどうしても時間がかかりますので、はじめから何でも食べられるというわけにはなかなかいきません。

また、新しい入れ歯に口の筋肉が戸惑ってしまって、変に緊張したりすると口元もおかしくなることがあります。1週間ほどは変化を観察しながら調整していくことが重要ですので、その間は柔らかい物や小さく切ったものを召し上がるようにして下さい。慣れてきたら徐々に堅い物や大きめのものを食べてみましょう。合わないからといってご自分で削ったり足したりすることは絶対にやめて下さい。入れ歯が台なしになってしまいます。調整は必ず先生にやってもらうようにしましょう。

スマイルデンチャー

食後は入れ歯の内面や外側に食べかすが溜まります。その食べカスをそのままにしておくと、細菌によって入れ歯の内側の歯ぐきが炎症をおこしてしまうので、原則として毎食後入れ歯をはずしてお掃除が必要です。入れ歯本体は歯磨き粉をつけずに水をかけながら歯ブラシや入れ歯用ブラシを使って食べかすを洗い流して下さい。入れ歯専用の歯磨き粉を使っても結構です。また、洗うときには入れ歯を落としても壊れないように、下に洗面器やボウルなどの容器に水をはっておきましょう。

スマイルデンチャー

寝る時は原則として、入れ歯をはずしてください。歯ぐきが休まらず「あたり」が出てしまう恐れがあります。また、その時は容器に水をいれて保管して下さい。入れ歯は乾燥すると変形、変色したり、ひび割れがおこることもあります。保管容器に市販の入れ歯洗浄剤を入れると、入れ歯の臭いや細菌、茶渋、タバコのヤニなどを落とすのに効果があります。
また定期的に歯科医院で強力な業務用義歯洗浄剤を使って、超音波洗浄をしてもらうと義歯が綺麗になるので良いでしょう。

 


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虫歯

虫歯になる原因は?

プラーク虫歯の原因は、プラーク(歯垢)とよばれる細菌のかたまりです。しかし、プラークができてしまったからといって、すぐに虫歯になるわけではありません。

プラークは「歯に付いた食べカス」や「ブラッシング不良による磨き残し」などが、お口の細菌と混じり合ってできるものです。このプラークは、飲食物に含まれる糖分をエサとして増殖するだけでなく、時間が経つと酸を作り出します。ここで作り出された酸が、歯の表面を溶し始めます。これを脱灰といいます。その後さらに時間が経つと、唾液によって酸が中和され、唾液中に含まれるミネラルが歯の表面に沈着して、修復されていきます。これを再石灰化といいます。この場合には虫歯にはなりません。食事の度にこの作用を繰り返していますので、脱灰が続き、歯の再石灰化が起こらない場合には、虫歯が発生するのです。


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インプラント

 

インプラントについて

インプラントの歴史は非常に古く、その起源は紀元前といわれています。今よりも硬いものを食べていたといわれる古代の人たちも、歯の喪失に悩まされ、人工の歯根を顎の骨のなかに埋める方法を考えついたのでしょう。人類にとって、インプラントは夢だったのです。しかし、つい最近まで、インプラントによる治療はごく一部で行われていたにすぎませんでした。なぜなら、しっかりと顎の骨のなかに埋まるインプラントが存在しなかったからです。インプラント治療が広く行われるようになったのは、チタン製インプラントが登場した1960年代以降です。それまでエメラルド、鉄、金、サファイア、コバルト・クロム合金、ステンレス、アルミニウムなど多様な素材が有望視され、しかし結局は期待通りの結果を出すことができず、淘汰されていきました。現在、インプラントといえばチタン製を指し、おそらく今後も、チタンは主流でありつづけると思います。なぜなら、チタンは他の素材に比べて非常に優れた特質を備えているからです。その特質とは「骨と結合する」ということです。金属とからだの一部である骨がくっつくなんて信じられないと思われるかもしれませんが、科学的に立証された明白な事実です。このチタンの登場によって、インプラントに大きな飛躍が訪れたのです。チタンと骨が結合することを発見したのは、スウェーデンの学者で、応用生体工学研究所所長のペル・イングヴァール・ブローネマルク教授です。話は1952年。当時、ブローネマルクは、スウェーデンにあるルンド大学の医学部で、骨が治癒する過程で骨髄がどのような役割を果たしているかについて研究していました。

ある日、ウサギの脛骨(すねの骨)にチタン製の生体顕微鏡用の器具を埋めこみ、内部を観察する実験を終えて、その器具を取り外そうとしたところ、不思議なことが起きました。強く引っ張っても器具が骨からなかなか離れないのです。よく見ると、骨と器具のネジがぴったりとくっついていました。器具はチタン製でした。これ以前に使っていた別の金属でできた器具では、骨と癒着したことなど一度もなく、ブローネマルクは「チタンは骨とつく」という性質を初めて知ったのです。しかし、当時はこの性質を何かに応用できるとは考えなかったようです。 1960年、イエテボリ大学の解剖学教授となったブローネマルクは、血液循環の研究に取り組みはじめました。生体内において血球がどのような働きをしているのかを探るために、今度は人間を対象とした実験に着手し、チタン製の生体顕微鏡用の器具を被験者の上腕に埋めこんで、血流の観察を試みたのです。この実験をきっかけに、ブローネマルクは、チタンの新たな性質に興味を抱くようになりました。それは、チタンが骨だけでなく、軟組織(結合組織、上皮など骨以外の組織を軟組織といいます)に対しても親和性が高いという性質です。またこの実験装置は、骨とは接触しておらず、軟組織に埋めこんでありました。観察は数か月にも及んだのですが、取り外したあとの軟組織には何の異常もあらわれていなかったのです。つまり、チタンは生体に拒絶されなかったことを意味します。この偶然の発見から、ブローネマルクはチタンがさまざまな医学領域に応用できる可能性があると考え、イヌの顎にチタン製インプラントを埋め込む実験を開始、数年にわたって繰り返し行った動物実験の結果から、チタン製インプラントが骨と強固に結合することを確信し、これを「オッセオインテグレイション(osseointegration )」と名づけました。Osseoとは「骨の」、integrationとは「結合」を意味します。そして1965年、いよいよ人間への応用に踏み切ったのです。

1965年ひとりの患者から始まった。
ブローネマルクシステムの臨床の歴史は1965年か始まります。
第一号患者であるヨスタ・ラーソン氏がブローネマルクシステムの長期臨床実験の生きた証人です。
ブローネマルクシステムはオッセオインテグレーションインプラントのグローバルスタンダードとして、40年以上の臨床実績を持ち世界中の臨床家から、支持・信頼されています。
他に例を見ない長期に渡る研究開発期間、また、多数の科学的論文などから、Evidence Based Medicine (E・B・M)を語れる唯一のインプラントシステムであると言えます。
P.I.ブローネンマルク教授がブローネマルクシステムの開発者で、全てのインプラント治療の規範をつくりました。


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親知らず

親知らずは必ず抜かなければいけないの?

抜く必要がある場合と、必要のない場合があります。親知らずは誰にでもあるわけではありません。ある人は上下左右で4本ありますが、約半数近くの人は0~3本ぐらいしかありません。またあったとしても、まっすぐ生えてこないで、ななめに生えてきたり、骨の中に埋まったままになっていたりと様々です。昔の人はほとんどの人が親知らずがあったと言われています。しかし現代人になって顎の大きさが小さくなるにつれて親知らずの生えてくるスペースが少なくなり、それに伴って親知らずも自然と生えてこなくなってきたようです。

親知らずの虫歯

親知らずは歯列の一番奥に生えてくるためになかなか歯ブラシが届かないので上手に磨くことが出来ません。そのため、虫歯になったり、歯肉が腫れたりすることがあります。親知らずが虫歯になるとその手前の歯に虫歯が移ってしまうことがあります。また親知らずの回りの歯肉が腫れるとその手前の歯にまで炎症が波及したり、顔が腫れたりと様々な悪影響を回りの組織に及ぼします。そのために親知らずは早く抜いた方がいいという定説ができあがりました。
しかし親知らずは必ずしも抜く必要はありません。昔のように口腔内の清掃状態が悪く、口腔清掃指導もしっかりしていなかった時代には抜かなければ回りの組織に悪影響を与えることも多かったのですが、現在のようにしっかりとブラッシング指導をおこない、親知らずまできれいに磨けるようになり虫歯を予防していけば抜く必要は無いどころかリスクを侵してまで抜かない方がよい場合が多くあります。

親知らずの抜歯

現在では、移植という治療法もあり、他の歯がだめになったときに、無駄のように思われていた親知らずが思わず役に立つことがあります。また、他の歯がだめになったときに親知らずがブリッジの土台になったり、義歯のバネのかかる歯になったりと色々なお役に立てることもあるのです。
親知らずが骨の中にある場合でも、骨の中に歯があることにより骨の吸収を防ぐこともあります。最近では残根状態になった根をわざと歯肉の中に埋めたままにしてふさいでしまい、骨の吸収を防ぐこともあります。そうすることにより、義歯(入れ歯)の安定をよくするのです。

 また親知らずは一番奥にあるため大事な神経や血管がすぐ近くにあります。そのために抜くときに神経や血管を傷つけて、その後、口唇や舌に麻痺が残るような事故も後を絶ちません。
このような様々な理由から、必ずしも急いで抜く必要はないといえます。
もちろん、あきらかに親知らずが原因で手前の歯に虫歯が出来ていたり、頻繁に歯肉が腫れたり痛くなったりする場合は抜いた方がいいケースもたくさんあります。
親知らずを抜くか抜かないかの判断はかかりつけの歯科医に相談し、診断してもらうのがよいでしょう。


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