マウスピース・マウスガード(スポーツ用)

スポーツ用マウスピースとスポーツ用マウスガードについて

スポーツ用マウスピースのカラー見本

スポーツ用マウスピース・スポーツ用マウスガード はただ単に衝撃から歯を守るものではなく、噛むことに関係することから、身体能力にも影響するため、マウスピース・マウスガードによっては競技における成績を大きく左右することがあります。また通常は、お湯で軟化させて自分で製作をする 簡易なマウスピース・マウスガードを使用することが多いようですが、どうしても口腔内で精密に歯に適合させることが難しいことから、歯牙欠損することが多いとの報告があります。また激しい衝突による脳へのダメージは脳震盪を引き起こし、ひどい場合は記憶力や計算能力を著しく減退させることもあります。また歯を一本喪失したとき、総リハビリ費用は、なんと マウスピース ・マウスガード製作費用の10倍以上の費用がかかります。これからの人生は現在の競技生活よりも遥かに長いものなので、正しい マウスピース・マウスガード の着用で口腔外傷を大きく減少できるため、医学的根拠に基づいたマウスピース・マウスガードを装着して頂きたいと思います。

歯槽骨(上顎骨)とは言わば歯が埋まっている土台です。
スポーツ外傷において前方からの直達外力によって歯の損傷も確かに多いですが、歯槽骨(上顎骨)損傷も少なくありません。マウスピース・マウスガードは歯だけを守るものではなく、口全体を守るものであり、製作するマウスピース・マウスガードに対して歯槽骨の保護を特に重要視しており、設計に反映する必要があります。

スポーツ用マウスピース・スポーツ用マウスガードに求められるもの

スポーツ用マウスピース設計図

抜群の適合性能

市販のマウスピース・マウスガードを使っていた方が、こちらで製作をしたマウスピース・マウスガードを使用して、まず驚くのが密着するような適合性です。歯型にあわせて隙間なく作ることにより、競技中に外れてくるストレスから開放されます。また吸い付くような適合性ゆえにボコボコに殴られても マウスピース・マウスガード が飛ばされることもありません。今までに多くの選手が市販の マウスピース・マウスガード にはない装着感を実感しております。
※「ボコボコに殴られてKOされてもマウスピース・マウスガードは外れることはなかった・・・」という報告が1例ありました。

スポーツ用マウスピースと格闘技

 

異物感激減

市販のマウスピース・マウスガードの異物感。それは使ったことがある方なら誰でも知っています。特にお子様は激しく拒否反応を示します。マウスピース・マウスガードは衝撃や外力に耐えうる範囲内でマウスピース・マウスガードの外形を小さく抑え個人のBESTな形態に仕上げています。

呼吸の妨げにならない

どのスポーツにおいても呼吸を阻害されるほど苦痛はありません。マウスピース・マウスガードはスポーツにおけるパフォーマンスをあげるものであり、装着して能力が低下するものであってはなりません。設計において常に考慮することの1つです。

スポーツ用マウスピースとラグビー

会話の妨げにならない

つけていることを忘れる瞬間、それは会話をしている時に感じるかもしれません。
発音によってはしにくい語句はあるものの市販のマウスピース・マウスガードではできなかったスムーズな会話をすることが可能になります。

歯牙への衝撃を大幅に緩和

歯へのダメージを緩和させる。これは絶対条件です。一般的にマウスピース・マウスガードを購入される方は、スポーツで歯を折ったり外傷を防ぐことを目的として購入される方がほとんどです。しかしどこをどのように衝撃から保護するものだと考えたことはありません。歯牙を保護するのはもちろんですが、それプラス、マウスピース・マウスガードによって歯槽骨も保護されなくてはいけません。歯槽骨とは歯の根を支えている言って見れば歯の埋まっている土台です。打撃によって歯牙が破折すればまだいい方です。最悪なのは歯槽骨の骨折や歯が歯槽骨を深く突き破る怪我です。衝撃を受けるスポーツだとはいえ、こんな怪我をしてしまったのでは長期間の入院や高額の治療費によって後悔しかねません。そのためにも絶対に歯牙と歯槽骨を死守し危険から未然に防がなければなりません。オーダーメイドのマウスピース・マウスガードは個人の歯型を元に製作するため歯槽骨の部位までしっかりカバーしてくれます。マウスピース・マウスガードによって歯と歯槽骨を一体とすることでより衝撃を分散することが期待されます。上顎に歯が14〜16本ありますが1本1本の強度は弱くても、それを1つにつなげれば強度が強くなります。適合性能が良いと歯列を1つに繋げることができますが、あっていないマウスピース・マウスガードですと、それを期待するのは難しいです。歯へのダメージを緩和させる、これは絶対条件です。

スポーツ用マウスピースとボクシング

集中力の向上

「マウスピース・マウスガードをつけると集中力がなくなる・・・」と思っているのであれば、オーダーメイドのマウスピース・マウスガードを一度使ってみてください。グッと噛むことができて噛み合わせが安定すれば、集中力も向上するはずです。

口腔内の外傷防止

マウスピース・マウスガードをしていれば起きなかったというケガの1つに、口腔内を歯でカットしてしまうようなケガがあります。誰でもしようと思ってするケガはないですが、格闘技などではなくても不意に相手選手の頭や肘が顔に当たってしまったりと不意の事故もよくある話ですが、そんな損傷のリスクを軽減させることができます。今までそれほど多くなかった、バスケットボール、サッカー、柔道などの選手からも依頼が多くなってきています。

スポーツ用マウスピース

頭部への衝撃緩和と脳震盪防止

ラグビーやアメリカンフットボールの選手は実感されている方が多いようです。スポーツにおける脳へのダメージは、軽いものでは若いときはあまり感じることがなくても、それを繰り返し行うことによって、年をとると何らかの影響が出ることもあると聞いています。よってあなたにあった最適な設計、最適な噛み合わせで使用できるマウスピース・マウスガードを使用されることをお薦めいたします。

歯のすり減り防止

マウスピース・マウスガードは筋力トレーニングによる歯牙のすり減りを防ぐことにも使えます。筋力トレーニングは噛み込みにより歯牙や歯周組織にとても大きな負担をかけることになります。その結果、年を取ってから歯がボロボロになったり異常なすり減りにより、歯の神経がダメージを受けるなど何らかの支障が出ることが考えられます。しかしアスリートにとって「歯は命」マウスピース・マウスガードはすり減って交換できても歯牙をを交換することはできません。

今は筋トレの時もマウスピースマウスガードを使うアスリートがとても増えてきています。市販のマウスピース・マウスガードは口の中でごわつき、長時間使用すると気持ち悪くなってきますが、オーダーメイドはつけながら会話ができるほど異物感がとても少ないのです。

スポーツ用マウスピースカラー

筋力・瞬発力の向上

歯の噛み合わせと力の出し方はとても大きな関係があります。上下の歯牙の間に弾力のあるマウスピース・マウスガードを介在させることにより、より安全に噛みこむことができるため口腔組織に大きな負担をかけることなく、運動遂行に関与することにより、どの位置からでも自分に合った位置で噛みこむことができるため、口を閉じた時のあの嫌な歯型が合わないストレスを大きく解消することができます。

バランス感覚の向上

スポーツにおいて「バランス」は非常に重要です。 バランスと言っても様々なものに対しての意味合いがありますが、体のバランスを最善にさせるには、頭部から始まり体幹の基軸となる頸部・胸部・腰部の位置関係を正常にさせなければなりません。左右不均衡な噛み合わせや、一点が先に当たってしまうような不良な噛みあわせによって、知らないうちにバランス感覚を低下させていることも少なくありません。噛み合わせが不良な方が、最適な噛み合わせを付与したマウスピース・マウスガードでフォームなどが安定したという報告も今まで多数にわたり寄せられています。

競技相手の保護

接触した際に、自分の歯が相手選手の顔や頭などを傷つけるのは、格闘技だけではなく、バスケットボールやサッカーなど様々なスポーツで見られます。その場合、こちら側も歯の打撲や歯の破折を伴う、大きな事故へとつながります。自分のためにも、相手選手のためにも、楽しくスポーツを楽しむためには、最適なマウスピース・マウスガードが必要です。


多摩市永山 亀山歯科 東京都多摩市貝取1-17-3
京王永山駅,小田急永山駅より徒歩8分

顎関節症について

顎関節症について

顎関節症

顎関節の構造

顎は微妙に入りくんだ形と複雑な機能を持っています。ここには筋肉と関節と神経が集中し、顎をつり上げた形で、口の中のかみ合わせと連動しています。
最近、顎の関節の不快症状を訴える方が多くなってきました。その症状は多種多岐にわたっています。たとえば、あごが思い通り動かず、食べ物が噛みづらい。 あごを動かすとき、カックン、キシキシなど不快な音がする。あごの関節に痛みを感じ、口が開けにくいといったものです。しかも症状はあごの関節ばかりでなく、肩こりとか、腕や指がしびれた感じがするとか、しばしば偏頭痛があり、耳や鼻にも不快な症状を感じる人もいます。
このように、大変広範囲にわたり、ある人には軽い症状、とても耐えられないような重い症状まで、個人差もかなり強いのが特徴です。

顎関節症の仕組

顎関節症の原因

その原因として、いろいろ考えられますが、上下の歯の噛み合わせの異常による場合が多いようです。上下の歯の噛み合わせが悪くて、下のあごが横にずれ、関節頭が正しい場所に位置していないときは関節部の構造が変化して、関節症の症状をおこすといわれています。また精神的緊張やストレスがあごの周りの筋肉をたかぶらせ、これが噛み合わせをアンバランスにし、無理な力が関節にかかって顎関節に負担がかかるともいわれます。
歯ぎしりによって厳しい歯と歯の摺りあわせが続くと、あごの関節に大きな負担をかけてしまいます。さらに全身的問題、例えば、生まれつき関節に形態的問題のある人や、関節部に外傷を受けたことがあるかどうかなどが微妙に複雑に絡み合っていろいろな症状を呈します。
最近の診断学の進歩によって、部分的には明らかにされましたが、いまだ分からない点も多く残っているのが現状です。

治療法

治療法も随分ありますが、全身に対するものと、あごや歯など局所に対するものに分かれます。
全身療法は、内科医、神経科医、整形外科医と相談しながらやらねばなりません。
治療するに当たっては正確な診断が必要です。噛み合わせにズレはないか、抜けた歯はないか、親知らずはどんなはえ方をしているかなどを調べます。さらに口の周りの筋肉を触診したり、歯ぎしりはないか、生まれつきあごの関節に異常はなかったか、などを診査します。さらに歯の型をとったり、レントゲン検査をしたりして、筋電図をとることもあります。

局所療法

局所療法としては、噛み合わせを治すことが一番重要です。それは多くの場合、直接的、あるいは間接的に何らかの形で噛み合わせが症状に関わっているからです。
スプリントという入れ歯に近いものを上顎あるいは下顎に入れます。その装置によって上と下との噛み合わせが均等に接するようにします。そうすると、あごの関節頭は正しい位置に戻り、その周りの筋肉は緊張がとけて楽になり、スムーズな運動が出来るようになります。
さらに歯の頭を削って上下の噛み合わせを合わせたりしながら、根気強く調節をくり返します。症状がとれた所で、クラウンやブリッジ、それに入れ歯などで噛み合わせの関係を再構成しなければなりません。
このようにあごの病気からこういった多くの症状が現れることはそれだけあごの動きや噛み合わせが人体にとって重大である証明でもあります。
このことはあごの関節が複雑で特殊な構造から出来ていることによります。その上、下のあごはさらに肩や首の筋肉との関係も深いから一層それらに影響を与えます。上と下のあごの関係や下顎の筋肉のバランスを崩さないような治療が大変重要です。
あごの病気の治療はむずかしく、複雑でしつこい疾患です。歯科医と患者さんは根気強く、回復への努力を払わねばなりません。

顎関節症と紛らわしい病気

近代化の波は早いテンポで世界的に押し寄せていますが、その中でも日本は経済的成長とともに、衣、食、住、全般にわたって急速な変化が著しいです。
そのような世相を背景にして、以前は存在しなかった新しい、複雑な病気が表れ、診断や治療で医者や歯医者を悩ましています。
その症状の特徴は、歯科から整形外科、精神科、内科、耳鼻科、小児科といった広範囲にわたる複雑なものです。
顎関節症を含めてこれらの新しい病気は、その病気そのものもまだ詳しく分かっている訳ではありません。典型的症状を示してくれればいいのですが、紛らわしい症状ですと、識別するのがひと苦労です。
例えば、三叉神経痛、非定型顔面痛や頭痛など痛みや症状の現れる場所が顎関節痛と紛らわしいのです。

全身への影響

1,眼精疲労・かすみ目・視力低下
2,偏頭痛
3,耳鳴り・難聴
4,肩こり・腰痛・ぎっくり腰
5,開口障害・摂食障害

治療期間

症状の程度によって異なりますが、数ヶ月かかることが多くあります。


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母乳育児が歯の健康に有益

母乳育児が歯の健康に有益
おしゃぶりの使用度も関連
HealthDay News2015年7月2日 (木)配信 小児科疾患産婦人科疾患

乳児を母乳で育てると、後に噛み合わせ異常が起きる可能性が低減するという。オーストラリア、アデレード大学のKaren Peres氏らの研究で示され、論文が「Pediatrics」オンライン版に6月15日掲載された。

Peres氏らは小児1,300人超を5年間追跡し、生後3カ月時、1歳時、2歳時の母乳育児の状況を調べた。また、生後3カ月、1歳時、2歳時、4歳時でのおしゃぶりの使用頻度も尋ねた。小児の約40%は4年間、日常的におしゃぶりを使用していた。

5歳時点で、小児らに開咬、交叉咬合、過蓋咬合、中等度~重度の噛み合わせ異常など、歯や顎の位置異常がみられるかを調べた。

過蓋咬合のリスクは、生後3~6カ月に母乳のみで育てられた小児ではそうでない小児に比べて3分の1低く、6カ月以上の母乳歴がある場合は44%低くなっていた。同様に、中等度~重度の噛み合わせ異常のリスクも、それぞれ41%、72%低くなった。

開咬、過蓋咬合、中等度~重度の噛み合わせ異常は一般に、ほとんどまたは完全に母乳で育った小児で少なかった。ただし、ほとんど母乳育児の児でも、おしゃぶりを使うと噛み合わせ異常の可能性がやや高かった。

今回の研究は母乳育児と歯の健康の因果関係を証明したものではないが、「母乳育児は、口腔の筋発達や鼻呼吸を助ける。また、不正咬合の危険因子と考えられているおしゃぶりの使用率も低くなる」とPeres氏は話している。


歯のクリーニングで肺もきれいに保てる

年2回の歯科受診で細菌性肺炎リスクが低下
HealthDay News2016年11月10日 (木)配信 一般内科疾患呼吸器疾患感染症

定期的な歯科検診は明るい笑顔を保つだけでなく、肺の健康も保つ可能性があるという。米バージニア・コモンウェルス大学感染症部門内科助教授のMichelle Doll氏らの新たな研究で、定期的な歯のクリーニングにより肺感染症を引き起こす細菌量が減少し、肺炎リスクが低下する可能性があることが示唆された。

 

米国では毎年100万人近くが肺炎を発症し、5万人が肺炎で死亡する。誰でも肺炎にかかる可能性はあるが、高齢者、他の肺疾患がある患者、AIDSなどの疾患をもつ患者ではさらに多くみられる。

本研究では、2万6,000人超の記録をレビューした。その結果、歯科医を全く受診していない人は、年2回の歯科検診を受けている人に比べて細菌性肺炎になる可能性が86%高かった。

この研究結果は、米国感染症学会(IDSA)、米国病院疫学学会(SHEA)、HIV医学協会(HIVMA)、小児感染症学会(PIDS)の年次集会であるIDWeek 2016で10月27日発表された。なお、学会発表された知見は、査読を受けて専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

Doll氏は、「口腔衛生と肺炎との関係は十分に裏づけられており、歯科受診は良好な口腔衛生を維持するために重要だ。口腔内の細菌をゼロにすることは不可能だが、きちんとケアすれば細菌の量を制限できる。われわれの研究は、口腔衛生が全身の健康に関係することを示すさらなるエビデンスであり、歯科のケアをルーチンの予防医療に組み込むことの重要性を示唆している」と述べている。


歯の病気で動脈硬化が悪化 京大、疫学研究で確認 「医療新世紀」

臨床 2017年1月24日 (火)配信共同通信社
失った歯の本数と、動脈硬化の悪化の程度とに強い関係があることが、京都大の大規模な疫学研究で明らかになった。

歯周病菌の感染などで動脈硬化が進むことは従来の研究で指摘されていたが、地域の住民の集団で関係が確かめられたのは初めてといい、「歯の手入れと歯科の定期的な受診により口の中の病気を予防することで、動脈硬化に関係する死亡のリスクを下げる効果が期待できる」としている。

京都大と滋賀県長浜市が連携して2007~10年、同市の30~75歳の男女約1万人を対象に進めた疫学研究「ながはま0次予防コホート事業」の成果。

浅井啓太(あさい・けいた)京都大助教(口腔(こうくう)外科学)らは、まず参加者全員の歯科検診を実施。矯正や外傷によらない、歯周病などで失った歯の本数を確かめた。同時に、体を横たえた状態で、両腕と両足首の血圧と、心拍が末梢(まっしょう)血管に伝わる様子とを測る「CAVI」という方法で参加者の動脈硬化の程度を割り出した。

年齢や性別、喫煙の有無、血糖値など、動脈硬化に関わるほかの条件の影響を排除して両者の関係の有無を解析したところ、失った歯の本数が多いほど、動脈硬化の程度が悪くなっていることが分かった。

従来の動物実験や臨床研究では、口中で歯周病菌などの細菌感染による炎症が起こると炎症性物質が血管に入り込み、その結果、血管の内面が傷ついて動脈硬化を引き起こすことが分かっている。

浅井助教は「毎日の歯磨きを中心とした生活習慣で動脈硬化が防げることを知って、健康管理につなげてもらいたい」と話している。


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歯周病治療に新薬 危険な密室

歯周病 治療に新薬 歯支える骨、増やす 患者の選択肢、広がる

その他 2017年2月1日 (水)配信毎日新聞社

成人の8割がかかっているとも言われる歯周病は、悪化すると歯を支える骨「歯槽骨」が壊され、歯が抜けてしまう恐れもある。対策は口の中をケアし、悪化を防ぐしかないと思われてきたが、昨年12月、歯槽骨を増やす効果のある新薬「リグロス」(一般名トラフェルミン)が発売された。現時点では効果は限定的だが、患者にとっては選択肢が広がりそうだ。【野田武】

大阪府吹田市の主婦(30)は3年前、歯がぐらついて食事がしにくくなり、近所の歯科医院を受診した。専門的な治療が必要と判断され、大阪大歯学部付属病院(同市)を紹介された。

主治医はリグロス臨床試験(治験)について説明した。「症状がよくなる可能性があるなら」と考えて参加した。「手術後も痛みなどはなく、歯は今も大丈夫です」。女性は歯を失わずに済み、術後も順調だという。

歯周病の原因は口の中の細菌の塊(プラーク)。これを放置すると歯周病になり、プラークが歯石になると歯磨きでは取れなくなる。さらに悪化すると歯槽骨などの組織を壊してしまう。

歯科医にプラークと歯石を取ってもらえば歯周病の進行は止まるが、一度失われた歯槽骨は元には戻らないとされてきた。

しかし、リグロスには、骨の再生や血管の新生、細胞増殖などを促すたんぱく質「FGF2」が含まれており、歯槽骨や周囲の組織の再生を後押しする効果がある。

歯周病がひどくなると、歯茎を切り開いて歯石などの汚れを取り除く手術が必要になる。リグロスは粘り気のある液状の薬で、切開した歯茎を縫合する前に、歯槽骨の欠けた部分へ垂らして投与する。

◇大半の歯学部、治験参加 重大副作用なく 保険適用対象

歯を再生できないか――そんな思いから、科研製薬(東京都文京区)と大阪大のグループが1990年代にリグロスの研究開発を始めた。薬の安全性と効果を実証して国の承認を得るために同社が2001年から段階的に実施した臨床試験(治験)には、阪大など全国の25施設が参加。日本には大学の歯学部が29あり、その大半がいずれかの段階で加わった形だ。

臨床試験には約1000人の患者が参加した。治療後9カ月間でどの程度骨が再生したかを調べたところ、平均して壊れた部分の半分程度が修復されていた。

歯槽骨が必要以上に成長するなどの重大な副作用は生じなかった。ただ、治り方の程度には個人差があったという。

大阪大歯学部付属病院長の村上伸也教授(口腔(こうくう)治療学)は「歯の支えが増えることが期待できる点に意義がある」と説明する。

外国で生まれた歯の再生治療法もあるが、保険適用されていない。リグロスは保険適用されているので自己負担が原則3割で済む。

価格は決して安くはない。リグロスは歯槽骨がどの程度壊れているかによって大小2種類あり、大が約2万7800円、小は約2万700円。症状によっては2カ所以上に使う必要があり、手術代もかかる。

村上教授は「長年の研究を通じて、手塩にかけてようやく世に放った薬。安全性と有効性を実感してもらいながら、普及へ向けて薬を育てていきたい」と話している。

歯周病

◇「セルフケア」不可欠 歯間ブラシが有効

歯周病対策には、日ごろから自分の歯を管理する「セルフケア」が欠かせない。

日本歯周病学会が対策についてまとめた論文によると、歯周病は40~60歳の壮年期に発症・進行する場合が多い。痛みなどの自覚症状がないため、この時期の予防が重要となる。歯科衛生士などの専門家から年に1~2回はケアについて指導を受けることも推奨している。

日常のケアは、歯磨きに加えて、歯の隙間(すきま)に合った太さの歯間ブラシを使うことが汚れを取り除くのに効果的だ。歯間ブラシが入らない狭い部分には、デンタルフロスを使う。

学会の論文をまとめた森田学・岡山大教授(予防歯科学)は「歯間ブラシを使うと歯茎がマッサージされるので血行がよくなって老廃物が排出されやすくなり、歯茎が強くなる効果がある」と指摘する。ただ、使い方を間違えると歯茎を傷つけてしまうこともあるので、注意が必要だという。

一方、歯周病の最大のリスクとされるのが喫煙だ。同学会によると、ニコチンの影響で血管が収縮するなどして、歯周組織が修復しにくくなるという。豪州で喫煙者と非喫煙者の歯周病の人の割合を比べる調査をしたところ、喫煙者の方が高く、進行もしやすかった。

ただ、禁煙すると5~10年で歯周病になるリスクが非喫煙者と同じ程度になるという。


「危険な密室」歯科現場…「モンスターぺイシェント」の診療、拒否できず
その他 2017年1月28日 (土)配信読売新聞

岐阜市の歯科医院で、院長の渕野 太賀臣たかお さん(50)が通院患者の男に刺殺された事件は、27日で発生から1週間となる。岐阜県警は、逮捕された無職長浜伸幸容疑者(58)が治療への不満を募らせて殺害したとみて調べているが、歯科診療の現場では患者とのトラブルが後を絶たず、専門家は、トラブル時のマニュアル整備などが必要だと訴えている。(茶山瞭)

警察に相談

「患者とのトラブルは珍しくない。人ごととは思えない」。岐阜市で歯科医院を開業する男性(53)は、事件についてこう語る。

長浜容疑者は20日、歯科医院の処置室で渕野さんの首などを包丁で刺して殺害した疑いがある。県警によると、長浜容疑者は「カッとなって刺した」と供述。「歯槽のう漏の治療で歯を多く抜かれた」として、渕野さんとトラブルになっており、事件当時は1対1で面会していたという。

近隣住民によると、長浜容疑者は、道ですれ違った人をいきなりどなりつけることもあった。渕野さんは事件前、警察に相談していたが、「刺激したらどんな行動に出るか分からない」と介入は拒んだという。

理不尽な要求、暴言・暴力

医療現場でのトラブルは後を絶たない。2005年には、岡山大医学部・歯学部付属病院(現・岡山大病院)で元患者の男が歯科医師を逆恨みし、ナイフで切りつける事件もあった。日本歯科医師会によると、都道府県の歯科医師会に患者や歯科医師から寄せられたトラブルなどの相談は、12年度で年間計約4500件に上っている。

医療のトラブル解決に長年携わってきた大阪府保険医協会の尾内康彦参与(62)によると、患者の権利意識の高まりに伴い、近年、理不尽な要求や暴言・暴力を繰り返す患者が増加。こうした患者は「モンスターぺイシェント(患者)」とも呼ばれているという。

歯科医師法は、患者が診察や治療を求めた場合、正当な理由がなければ拒んではならないとする「応召義務」を定めている。患者の言動に不安を感じても、診察や治療を拒否するのは難しいのが実情だ。岐阜市の50歳代の歯科医師は、順番待ちに不満を持つ患者が「歯が痛いのに、なぜ待たないといけないんだ」と激高し、診察中になだめようとして逆上された経験がある。「本音では拒否したいが、我慢するしかない」

対策整備、求める声も

岐阜大医学部付属病院では、患者と医師の間に問題が起きた場合、両者を遠ざけ、複数の職員で対応する体制を整えている。患者相談窓口の担当者は「1対1は危険。ただ、小規模な歯科医院では『密室』で対応せざるを得ず、リスクは高まるだろう」と話す。

医療現場のトラブルに詳しい深沢直之弁護士は「応召義務は患者と医師の信頼関係が前提。患者によっては拒否もできるという認識を広める必要がある」と指摘。そのうえで、「警察にすぐ知らせるなど、モンスターペイシェントの対応マニュアルを整備し、歯科医師会などで共有することも重要だ」としている。


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